衝撃により強力な電磁場を生み出す未知の鉱物「パルサイト 」
西暦2032年12月31日
それは突如として地球に飛来し
大気圏突入と共に爆散、数千個もの破片となって世界各地に降り注いだ
核爆発にも匹敵する電磁パルスが生活圏を襲い、一夜にして地球上の電子機器の7割を破壊するに至ったのだ
後世「電子カタストロフ」として語り継がれるこの災厄は、人類史上二度目の暗黒時代の幕開けとなった
パルサイトはその後も断続的に飛来し、電脳網を壊滅せしめ、世界各地の経済破綻、飢餓、内戦、戦争を誘発した
文明社会は荒れ果て、西部開拓時代の無秩序へ帰り、人々は希望の光すら見失いかけていた
そんな暗黒時代に終止符を打ったのは、ユーラシアを拠点とする多国籍警備保障会社「ガード」だった
同社はパルサイトから生じる特殊な電磁パルスを遮断する技術を開発し、電子機器保護事業で莫大な利益を挙げた
復興の中心となり、その影響力は世界各地に支社を設立するという形で急速に拡大していった。やがては国から地方自治すら任されるようになる。
ついには法を制定し、自らのセキュリティ部隊を持ち、税を徴収するまでに至った。伝統的な国家の役割は次第に薄れ、代わりに企業がその機能を果たすようになった
世界秩序は一変したのだ
そして時は「電子カタストロフ」から100年経過した2132年
独特な雰囲気を持つ1人の女性が北米マイアミの地に降り立った
物語はここから始まる